UXデザイナーの信頼を取り戻すために考えてみたこと:スキル編

2016年11月19日

先日、下記のイベントに声を掛けていただいたので、短い時間ですが、最近感じていることを纏めて話をしてきました。

HCD-Net認定専門家と交流 ラウンドテーブルイベント
http://www.hcdnet.org/hcd/event/entry–973.html

所属する組織やHCD-Netの見解ではなく、あくまで私個人の考えとしてお話をしてきました。

 

UXという言葉がメジャーになった今

2年ぐらい前から「UX」や「ユーザ体験」という言葉を、マーケティングや戦略の場面やエンジニア同士の会話など、色々な場で聞く機会が増えてきました。

Webやアプリ開発業務でも「UX改善」などといいつつ、「ユーザビリティ改善」だけの場合もあったり、「ユーザ体験設計」から「運用改善」まで横断的に「UX設計」を行うところもあり、「UX」という効果に起因する要素の多さの関係上、いろいろな文脈で「UX」という言葉が使われることが増えてきました。

認知という面ではとても良いことですね。

 

話題提供ということで問題提起から

今回はUXデザインやHCDについて、「組織への導入に関する課題や問題提起」というテーマだったので、まず、私個人が感じている事実として、深津さんの下記を紹介しました。

 

 

2016年の夏に、この「UX」だらけのツイートをみて、「ああ、そうだよね!」と感じてしまいました。

 

なぜそう感じたのか

いくつかの現場で「UXデザイナー」について聞いてききつつ、ネガティヴな部分をまとめると、ざっくりとこのような意見に集約されました。

round-table-01

資料より抜粋

 

一言で伝えると「信頼されてない」のです。

これはとても悲しいことであり、同じ業界に片足を置いている立場としてでは、頑張って減らしていきたいと思っています。

 

なぜ信頼されていないのか?

信頼されていない理由の1つに、「UXデザイナー」という役割が曖昧であり、必要なスキル定義が出来ずに、プロジェクトで求められている状況にミスマッチすることが多いと思ってます。

 

そういったプロジェクトでは、その人のパフォーマンスも出ずに終わってしまい、残念なことになります。

 

このミスマッチは、その「UXデザイナー」が自身のスキルを正しく伝えることができていないといった問題もあるのですが、プロジェクトへアサインする会社や組織も必要なスキルを見誤っている可能性があると感じています。

 

例えば、会社や組織では「デザイン」=「UIデザイン」と捉えている会社もまだ多かったり、「UXデザイン」=「UXとUIデザイン」と解釈している場合もあります。
また、UXデザイナーといった肩書きの人からみた場合、「UXデザイン」=「体験の設計のみ」と捉えている人もいます。

 

まずはこのミスマッチを減らしていくのが大切だと考えました。

 

スキルを伝えるためには?

では、正しくUXデザイナーのスキルを伝えるためにどうするのが良いのか?

今回、スキルのマッピングを使ってみる例をお話しました。

dsia-ux-design-practice-verticals

資料より抜粋

出典:http://www.methodbrain.com/dsia/resource/ux-design-practice-verticals.cfm

 

このマッピングによると、ビジネス分析からコンピュータ・サイエンスまで、幅広いスキルが必要であると明示されています。

 

また、スキルの深さについても「ユーザ体験設計(User Experience Planning)」がもっとも深く必要とされていますが、他の領域のスキルも浅い知識や経験では足りていないと読み解くこともできます。

 

この資料は、2013年頃のIA業界での捉え方であり、現在のアプリ開発などには一部合わない部分はありますが、領域の幅の広さについて、大きくは変わっていないと感じています。

 

これまでの様々な経験を踏まえると、深い専門知識と経験が2列以上あり、その他の領域もある程度(3行ぐらい)の経験があったほうが、色々な役割で重宝されることも多く、必要とされる機会を作りやすいです。

こういった資料を使いながら、組織や個人で合わない部分は、カスタマイズし、個人のスキルを棚卸しするのも良いかもしれませんね。

 

まずはギャップの谷を埋めていく

暗黙知を複数人で進めたり、人から人へ伝達していく際には、何らかの「伝わるもの」が必要です。

 

1番コストがかからないのが、言葉ですが、会社や組織となると、様々な背景や状況もあるため、言葉だけで同じことを伝えることが難しい場面もあります。

そういった場合にもこのような明文化を行うことで、想定を超えた間違った解釈を減らしていけるのではと思います。(これだけで全てのギャップを埋めることは難しいですが、認識のベクトルは合わせやすくなるでしょう。)

 

またUXデザイナーも、自身の領域のスキルを把握し、他の領域の人へ理解しやすい状況を作る努力はしていくべきだと思います。(UXという言葉を使うなら、相手へ伝えるためにも努力すべきです。)

 

おわりに

このように、スキルマップを用いて、見える化することにより、UXデザイナーに対すると期待値と実力の比較がしやすくなります。

また、UXデザイナーが信頼を得やすい土壌がやっと作れます。やっとここからがスタートです。

 

次回は「UXデザイナーが信頼を得ること」について、書いてみます。

つづきはこちら

UXデザイナーの信頼を取り戻すために考えてみたこと:組織編

 


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