言葉の定義を先に合わせていくということはとても大切だなと思うことがよくあります。
例えば前回の勉強会でも、チームマネージメントとチーミングについて、講義の最初に以下のように定義をしました。
- チームマネージメント
- チームの管理者が、チームの状態を保つために把握、調整、管理すること
- チーミング
- チームに関わる人が主体的にチームを分析、学習し、成長させること
定義した理由に、マネージメントという言葉には、日本語の「管理する」という言葉と英語の「マネージメント」という2つの意味があると思っていて、どちらのことを知っていて、指しているのかを明確にしていかないと、認識の齟齬が発生することがあります。
そんな、認識の違いについて、書いてみました。
管理するという言葉の使われ方
日本には、管理職や管理者という、「管理」という言葉を使った役割があります。
管理という日本語を英語へ翻訳してみると、「management」となります。「management」を日本語へ翻訳してみると、「管理」となります。
あれ、一緒だなと。
そのためか、管理者=マネージャー、チーム管理=チームマネージメントという形で使われることが多いです。
つまり、様々な場面で「管理」=「マネージメント」は同じ意味で使われていることが多いと思います。
- プロジェクト管理=プロジェクトマネージメント
- 経営管理=経営マネージメント
- 組織管理=組織マネージメント
果たしてこれは同じ意味で良いのでしょうか?
管理という言葉の意味は?
管理するという言葉の意味を調べると
人員,物品,資金,情報などの諸資源を調達し,それら資源を合理的に配分,活用するための諸制度 (組織,人事,財務,文書) を整備する
など、手元にある資源をどのように利用するか、配分を決めたり、活用するために整備をする意味合いで、「リソースを管理、分配」、「制度を整備」という言葉で表されることが多いようです。
この視点はどちらかというと「内向き」であり、どのように手元にある資源をコントロールをしていくか、コントロールをし易いためにはどのようにしていくかといった見方もあります。
マネージメントという言葉の意味は?
ピーター・ドラッカーなどのマネージメントの解釈では、「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と表されることがあります。
読み方を変えてみると、「組織の成果をあげるためにやれることをやる」とも読み取れます。
ここでは一切、管理するという言葉はなく、成果にのみ向いています。そして成果は会社単位でみると、社会に貢献し、結果、会社の売上として映し出されることが多いです。
そして、その成果は「内向き」ではなく、組織の外側にあるものを指しています。
成果が出なかったら意味がないとも読み取れますが、これはドラッカー氏は、マネージメントの前に組織と社会の関係を明らかにした上で、個人は組織を通して、自己実現をし、組織は社会に対して貢献していくことが前提にあり、この社会貢献を実現するために、どのように組織を作り、動かしていくのかといった部分をマネージメントと指しています。
内向きから外に目を向けさせるために
さて、管理という言葉に視点を戻して、日本の管理職を例に視点を戻すと、たまに下記のような立ちふるまいをする人が居たりします。
- 責任を負いたくない
- だから決めたくない
- 変化を嫌い、そのままがいい
- 規律からはみ出ると問題になりそう
- 変化することによるリスクばかり気にする
- 上位の人からの評価を気にする
もし、こういった人達が居た場合は、是非、組織と社会との関係を踏まえて、話をしつつ、いかに外に向けた視点をもってもらえるか、質問を変えてみてはいかがでしょうか?
- このままで組織として成果を出していけるのか?
- 今のやり方で、社会の流れに付いていけているのか?
- メンバーが違うのに、昔からのやり方のままで良いのか?
変化することを恐れないようになってもらいたい場合は、問いを問い続けることが多いです。
また、基本的には1度伝えてから、すぐに変化が起こることはほぼないため、ずっと問い続ける必要があります。そして、あたり前ですが、問い続けるのをやめると、変化はしません。
もちろん、変化を取り入れ、やり方を変えてもすぐにうまくいくことは少ないかもしれません。
しかし、少なくとも新たな見方が少しでも開けて、既存とのやり方を比較できるきっかけ作りにはなるでしょう。
おわりに
私自身、管理するということを考えるよりも、チームのメンバーの個性を活かして、どのように場を作っていくかということが、チームのマネージメントとして求められていることだと思ってます。
まだまだ、チームに対する探求は続きます。