繋がりから価値を見出したい人は「柳本浩市展」へ足を運ぼう

2017年5月31日

とある展示へ足を運んで思ったことを纏めてみました。

独立後、ディレクターという立場でいくつかの仕事に関わらせてもらっているのですが、「ディレクター」という言葉から認識する仕事や業務内容に、百人十色の解釈があります。

ある人は、決められた内容の制作の管理進行を実施する人を指していたり、ある人は、いまだ決まらぬ要件を、状況判断から行い、決断し、制作の段取りを作っていく人であったりと、ディレクターは現場と状況の複雑な状況から、求められる役割は変化することが多いためか、これまでどのようなディレクターと仕事を一緒にしてきたという経験により、人それぞれ感じ方がちがうのでしょうか。

なお、最近の私は、dockerを立ち上げて、iTerm2からCLIを叩くこともあるディレクターです。

 

アーキビストという展示:柳本浩市展「アーキヴィスト―柳本さんが残してくれたもの」

話は変わるのですが、先日下記の展示へ行ってみました。

柳本浩市展「アーキヴィスト―柳本さんが残してくれたもの

展示の概要は詳細を見てもらえば分かると思いますが、彼の膨大なコレクションの一部が展示されており、彼が分類する前の状態であった雑貨類が並べられたり、雑誌やチラシやポスターなどの紙がスクラップされ、カテゴリ毎に整理された膨大の資料を手にとって閲覧することができます。

 

展示されているアイテム数だけでも、数万点はありそうで、とてもすべてに目を通すことができない程の量です。

昨年、21_21 DESIGN SIGHTで開催された雑貨展でも感じたのですが、これだけの色とりどりのバリエーションも含めた収集品は、普通の人ではない世界を感じ、その集められた結果の集合体の美しさを感じました。

この集合体から語られるものこそ、個性と呼べるのかもしれません。

会場(倉庫)を見て回っていると、柳本さんの携わった雑誌の紹介や開催されているWSのチラシが展示されているスペースがあるのですが、そこに、こんな言葉が掲げられていました。

 

これからは1つの情報より、1つのコンテクストで繋がった情報が重要になってきます。
(Twitter / 2014.11.16)

 

この展示の1つ1つのモノは、物質であり、1つの情報であります。

その情報をある意図や解釈で複数の情報を取りまとめることにより、個別には認識できなかった「繋がり」が浮かび上がり、そこに新たな価値が浮かび上がることを指しているのだと思います。

 

ディレクターは関係をつなぎ、チームを鼓動し、融合させる人

この展示と流れ(個々の情報が集まり、集まることで価値ができる)を体感して、ふと思ったことがありました。

 

これって、私が支援している「チーム作り」と似ているのでは?

この集合体こそが個性であり、人それぞれ違うというところから繋げていくのでは?

 

チームは複数名の個性の集まりでもあり、チームで目的達成や課題の解決を行っていきます。

その際に、個々のスキルや立ちふるまいも重視はしますが、全体を見据えつつ、個性の繋がりを作っていき、「チームとしての価値」を認識させていくことが多いです。

チームのメンバーには、ある部分にものすごく長けている人がいたり、逆にある部分が一切できない人もいます。

そのメンバー間の認識を合わせた上で、自分たちのチームの価値を認識できると、個性の加算ベースのチームではなく、掛け算のように増大したチームが作られ、メンバー間の相互浸透により、融合が起こります。

 

この価値まで引き出すのがチームビルディングであり、フレーミングされた手法やコンサル的な表面の汲み取りだけでは様々な現場に対応できない部分であり、課題や問題はチームの日々変わる状況に埋め込まれていることが多いと感じています。

 

今年はこの現場での支援を通して、「チームのエスノグラフィー」のような部分を体系立てられるようにしたいです。

 

これから「柳本浩市展」に足を運ぶ人へ

会場には柳本さんのスクラップブックが大量に並べられていて、自由に閲覧するコーナーがあります。

そこに、「water」というラベルが貼られたブックがあります。

開いてみると数枚の切り抜きを閲覧することができます。
このブックは、他のスクラップブックに比べると、圧倒的に枚数が少ないです。

 

なぜ、「water」が少ないのか?このレベルでスクラップをされていたのか?たまたま、彼が「water」に興味をもった時期なのか・・・。

 

どう感じたか教えてください。

 

育ってきた環境が人を育てるのか

展示には彼の紹介や生い立ちを含めた、生まれてから亡くなるまでの年表が、その年の特徴とともに並べられて掲示されています。

そこには、幼児のころから大御所のライブに行けた環境を私は、羨ましく思いました。

例えば、こんなライブを観にいっていたようです。

  • 3歳:ピンク・フロイドの来日コンサートに行く
  • 4歳:ジェームス・テイラーの来日コンサートに行く
  • 6歳:スティービー・ワンダーの来日コンサートに行く

(すごい・・・。)

 

上記の部分も含めて、今回の展示で、少ない情報ではありますが、コンテキストを理解し、彼の思考を少しだけ感じることができ、妄想をする楽しみもありました。

そして私の情報量の少なさに嘆き、まだまだ私も他人から無駄だと思われることを一生懸命に集めて、蓄え、繋げていこうと思った、衝撃の日でした。

 

 

 

参考

柳本浩市展“アーキヴィスト―柳本さんが残してくれたもの

2017年6月4日(日)まで


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