ふりかえり(KPT)をアナログで進める理由

2017年10月19日

IT関連企業のお仕事をする時に、チームや組織のふりかえりから課題を吸い上げて、次の改善点を決める「ふりかえり」を進行することが多いため、今日はこの「ふりかえり」で意識している点を書いてみました。


KPTを使ったふりかえり

これまでIT関連企業で仕事をすることが多かったため、ふりかえりには、ほとんどの場合、KPTを使うことが多いです。

が、特にIT関連企業でしか使えない手法というわけではなく、業務を問わず、個人やチームで何かの業務を一定期間した後に、主にプロセスについての事象や深掘りをして、反省したり、改善したりすることに使える手法だと思っています。

なぜなら、「Keep=よかったこと」、「Problem=悪かったこと」、「Try=改善したいこと、取り組みたいこと」の3点を挙げるというシンプルな形であるため、はじめてKPTを取り組み方でも、参加の敷居が低いからです。

私がいつからKPTをやっていたのか振り返ってみると、2010年頃からやっていたようなので、もう7年もやってきたのかという、時間の流れに驚きました・・・。

参考:昔からあるKPTの紹介記事

 

意識している点:なるべくアナログでの作業とする

参加者はふりかえり会までに、宿題としてKPTの項目に沿って、業務で感じていたことや思っていることをメモしてきてもらいます。メモは手書きでもデジタルでの記載でも特に制限はありません。

ただ、KPTでのふりかえり会では、リモートでの参加者がない場合はアナログの作業を中心にするようにしています。

宿題として書いてくれたデジタルなメモも、一度、アナログな世界へ移行するべく、「付箋」へ記載します。

ふりかえり会のタイムスケジュール内に考える時間も含めて、付箋へ書く時間を設け、限られた制限時間の中でアウトプットをしていきます。

 

なぜアナログ作業にするのか?

アナログにする理由は、「内容」と「関係」を一度切り離して、その「内容」だけを情報として判断できるようにするためです。

例えば、

色々な立場や利害関係者が参加する会議を思い浮かべてほしいのですが、会議の話題に入っていったり、発言をしづらいことってありませんか?

発言しづらい理由を考えてみると以下のような点がある気がします。

  • 私が発言する内容に価値があるのか分からないし、会議の進行を妨げてしまうと感じてしまう
  • 私の分からないことを聞くことは、他の参加者にとってはあたり前のことであった場合に、貴重なメンバーと会議の時間を奪うことになる
  • 私が言いたかった内容と反対の意見を、私より立場がある人が意見として、あたかも決まったように述べている状況

など、会議の参加者との関係や話題の進み方などにより、発言しづらい場面は発生することがあります。

なぜ発言しづらいのかと考えてみた場合、会議の発言という事象を分割してみると、必ず以下の2つの要素に切り分けることができます。

  • 誰が
  • 何の内容を発信

この「誰が」には、その人である個人を指すのですが、さらに背景や立場などの状況と「私との関係」が含まれています。

立場が上の人が発言した同じ内容を、立場が低い人が発言したら、受け手は同じ内容であると解釈をするのでしょうか?

例えば、もの凄く極端な例ですが、

「来月からは売上げを2倍にしたいよね!だって、会社がヤバそうだからさ〜」

と、同じ言葉を「社長」が発言した場合と「新入社員」が発言した場合は、聞き手は違う反応をするのではないでしょうか。

この違う反応は、発言者の立場や背景と発言者と聞き手の関係を踏まえて、発言した「内容」を聞き手はくみ取っていると思います。

何となくなのですが、立場が上の人が発言した場合は、立場がリーダーであったり、決める立場でいることが多く、その立場を踏まえて発言をして、物事を決めている場合があります。

また、受け手にとってみては、その立場がある人の意見に合わせたほうが、大きな混乱も起きずに、物事が進みやすいことが多いと分かっている部分もあるのかなと感じています。

 

とある勉強会でも話したのですが、コミュニケーションには、「関係」と「内容」がある通り、この関係をまず切り離し、「何を」といった情報だけを集め、その情報を元に客観的にふりかえりを実施したいため、ふりかえり会では、アナログに書くことを優先しています。

そうすることによって、誰が何の発言をしたのか分からない場となり、その場の付箋に書かれた意見や事実だけを見つめ、付箋に書かれた内容を、参加者が読み取り、参加者の自身の記憶に問い、共感したり、その内容をキッカケに意見や発想をジャンプしたりとしやすい場ができると思っています。

 

ふりかえりはアウトプットを行い、思考を整理し、対話する場

今日はふりかえりをアナログで進める1つの理由を書いてみましたが、書くことでアウトプットすることができ、アウトプットする過程で言葉や考えを整理することができたりします。

さらにその手前には、ふりかえり会に参加する人達にアウトプットを増やす工夫も必要になります。

そのため、ふりかえりの宿題についてや、ふりかえりの会のルールについても工夫が必要になります。

ここについてはまた今度にでも書いてみます。


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