コミュニケーションは「合わせる力」よりも「感じる力」が大切かもしれない

2017年8月24日

随分と前になりますが、4月にとある勉強会に声を掛けていただき、「コミュニケーション」についてお話をしてきました。

テーマは「Webディレクターのためのチーム内と対クライアントのコミュニケーション」だったのですが、Webディレクター以外の職種の方々も参加いただき、コミュニケーションという掘り下げから、業務での働き方など、私の経験を元に話をしてきました。

この勉強会を通して、「コミュニケーション」を分解してみて気づいたことを1つまとめてみました。


コミュニケーションには「内容」と「関係」が常に存在している

コミュニケーションについては、言語学者や哲学者、メディア論など、これまでも多くの研究で語られていることであり、折角の機会でもあるため、いくつか本を読みながら、コミュニケーションについて再確認をしてみました。

その中で特に印象的だった内容で、「コミュニーケーション学講義」には、パロアルト派の人々が発展させた言葉に、「コミュニケーションすることは、オーケストラに入ること」といった記述があります。

簡単に書くと、「既にある流れに合わせて入っていく」ということです。

例えば、あなたがあるチームに新しく参画し、一緒に働いてみた場合に、お互いの情報を探りながら意見交換をすることがあったりしませんか?

私も新しい方々とお仕事をする際に、探り探り、恐る恐るコミュニケーションを取ることもあるのですが、理由として下記のような状態があったりします。

  • 前提として、相手の情報(性格、ふるまい、背景)が少ない
  • 情報が少ないため、話す内容が存在しないと話すことができない
  • 話す内容を作るために、そのきっかけを探しながらの探索しながらの話し方になる

これがどのように解消されていくかというと、日々のチーム内の会話の仕方や仕草など、小さなやりとりを重ねていく過程でチームの温度感や雰囲気、文化を知り、徐々に浸透し合っていくことがあるのではないでしょうか。

 

音楽を例に分解してみる

この探索しながらのコミュニケーションについて、音楽を知っている人に分かりやすく伝えると、初めて会う人達と音楽スタジオに入って、ジャム・セッションをしてみた時のやり取りに似ている気がするのです。

ジャムセッションでは、「ドラムがこのリズムなら、ベースも同じビートを弾こうかな」とか「そのコード進行なら、ここでテンションノートを入れて、緊張感を出してみよう」とか、その一瞬を音で出し合い、他のメンバーの反応や確認をしながら、セッションを進めていきます。

コード進行には基本的な進行やジャンルの定番のルールがあるのですが、あくまで両者の共通する認識としての「型」であり、ここをベースに、少しづつはみ出しつつも、お互いの「ノリ=feeling」を確認しながら進めます。

この「ノリ」が合うと、思いがけないアンサンブルが出来上がったりするのが、セッションの面白いところです。

例えば、こんな動画

このセッションには、単に何の音を合わせるかというより、相手の演奏を確認し、その演奏に対して反応することを繰り返していますが、まるで音楽で会話をしているようにもみえます。

たぶんですが、この2人は音楽の知識や経験もあり、共通認識の「型」をしっていて、相手の音から流れを感じ、感じた内容を自分で解釈を踏まえた上で演奏しているように思うんです。

単に演奏をして音を出すというよりは、音から文脈(セッションの進行)を「感じ取る力」と、現在の文脈に「合わせる力」の2つが必要な気がします。

その上で、わざとセッションの進行(文脈)から離れて、違う展開で流れをひっぱってみたりと、流れを「リードする」する力も加わってくると、演奏している2人もどのような展開になるかは想像はしつつも、お互いに刺激し合い、展開が変わり、変化しながら進んでいくところが、聞き手に対しても想像できない形になり醍醐味であったりします。

時には、お互い探りながら合わせているところもあり、お互いの目が合って微笑んでいる時は、「そのフレーズ、最高だね〜!」と、アイコンタクトを取っている気がするんです。

セッションでは、こういったコミュニケーションができることにより、より良い関係が作られ、アンサンブルが仕上がっていくことがよく有ります。

 

「合わせる力」の前に「感じる力」を

コミュニケーションも同様に、新しい環境内でのコミュニケーションをとる際には、既にある流れを「感じる力」とその流れに「合わせる力」が必要であると考えています。

この「感じる力」が出来ないまま、相手に伝えたい意思や内容を優先すると、受け手側である相手の視点では、一方的な意見と捉えられることがあるのではないでしょうか。

なので、もし、自分の意見がまったく伝わらない人は、伝える内容よりもまずは、その流れをくみ取る部分を見直す、つまり「感じる力」を意識してみると、結果的に伝わりやすくなり、関係が改善することもあるのかもしれません。

または、流れを「リードする」魅力を持っていて、発揮する場面があれば、そのリーダシップに引き寄せられる人達も増え、新しい流れが作られるのではないのでしょうか。

この「感じる力」があることが、コミュニケーションをしあう双方の関係に、信頼を作りやすくなるきっかけにもなると思っているんです。

ということで、コミュニケーションで「伝わらないな〜。」と嘆いている人がもしいたら、「感じる力」が足りているのか?または流れをリードするぐらい魅力を発揮できるかを、立ち止まって考えてみてみるのはいかがでしょうか?

 

さて、関係とは一体何なのか?

余談ですが、コミュニケーションの際に、お互いの関係を意識すると両者の気持ちになれるので個人的にはオススメです。

関係については、こちらの講座も近い説明があるはずなので、良かったらみてください。

ブランディングのためのエクスペリエンスデザイン


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